The Origin of Yukiya’s Design
八咫烏 / Yatagarasu (the Three-Legged Crow)
八咫烏とは
八咫烏(やたがらす)は、日本神話に登場する三本足の霊鳥です。『古事記』や『日本書紀』では、神武天皇が熊野から大和へ向かう際、道に迷った一行を正しい道へ導いた神の使いとして描かれています。この故事から、八咫烏は「導き」「開運」「勝利」「道を切り開く」の象徴として、古くから信仰されてきました。現在でも熊野三山の神紋として親しまれ、日本サッカー協会(JFA)のシンボルマークにも採用されるなど、多くの人に知られています。
「八咫(やた)」とは、「大きい」「広大である」という意味を持つ古い言葉です。また、三本の足には「天・地・人」を表すという説があり、神・自然・人が調和して生きることを象徴しているとも伝えられています。
師岡熊野神社と八咫烏
私が幼い頃から親しんできた氏神様は、横浜市港北区の師岡熊野神社です。平安時代以前に創建されたと伝わる、関東でも有数の歴史を持つ熊野神社で、1300年以上の歴史を誇ります。
熊野信仰を伝える神社として知られ、社紋には八咫烏が用いられています。
子どもの頃から神社へお参りするたび、境内の提灯や建物の意匠などで自然と目に入ってきたのがこの八咫烏でした。当時は神話を詳しく知っていたわけではありませんが、「三本足の不思議なカラス」は印象に残り、私にとって特別な存在になっていきました。
ユキヤが八咫烏を描く理由
もともと鳥(フィンチ類)が好きでしたが、カラスにはずっと惹かれていました。
黒い羽は光によって青や紫に輝く構造色、賢く仲間との絆も深い、知性と美しさを兼ね備えた鳥です。一般にはあまり良い印象を持たれないこともありますが、私にとっては特別な魅力を持つ存在でした。
幼い頃から氏神様である師岡熊野神社の八咫烏に親しみ、そして大好きだったカラス。その二つが重なり、八咫烏は私の代表的な作品モチーフとなりました。
着物には古くから願いや祈りを込めた吉祥文様が描かれてきました。私は「導き」の象徴である八咫烏に、身に着ける方が新たな一歩を踏み出し、自分らしい道を歩めるよう願いを込め、一点一点手描きで制作しています。
八咫烏は、私にとって単なるデザインではなく、氏神様とのご縁と、職人としての原点を象徴する特別な存在です。